問題は、下線部のみを読むとまるでタミフルを飲ませたために死亡したように受け取れますが、因果関係は不明です(研究班もそういっています)。今やインフルエンザのお薬の代名詞のようにインフルエンザの治療にタミフルは使用されています(これには少し問題がありますが)。それだけ服用者の人数が多いのです。当然、インフルエンザで死亡する患者がタミフルを飲んでいた確率は高くなるのです。だから、タミフルを服用したから亡くなったのではなくて、亡くなった患者がたまたま(?)タミフルを飲んでいたのだと僕は思っています。なぜならタミフルで死亡したのであればもっと亡くなった患者の数が多くてもいいのではないかという疑問と、服用していなくても亡くなっている患者がいるというところです。僕たち小児科医が恐れているのは今までとは違った経過で死亡していることです。つまり、今までのインフルエンザ脳症で亡くなる患者は一旦痙攣や意識消失等の神経症状を呈してから死亡していたのに、この報告では睡眠中に亡くなっているわけで、親も医者も対処し難いという点にあるのです。結局のところ現時点ではあまり1つの報道に右往左往しない方が得策だと思います。ただ、そうはいっても信頼できない厚生労働省のいうことですから、お母さん方の中にどうしても不安のある方がおられるのでしたらインフルエンザに罹患してもタミフルを飲まないことです。インフルエンザはこのお薬ができるまでは皆自分の力で抗体を作って治していたのですから、このお薬を飲まないと治らないわけではないのです。タミフルというお薬はインフルエンザの増殖を抑えるだけでインフルエンザウィルス自体を殺傷するお薬ではありません。では、なぜ服用するかというと増殖を抑えることによって早く回復できるからです。どんなお薬も安全性に関しては100%保障することができません。よく考えて納得してから服用してもらっても結構だと思います。また、もう1つの下線部に関しては、高濃度を幼若ラットに使用しているのと実際に人間に適用量使用しているのでは比較になりません。どんなお薬でも1000倍もの濃度で使用すればなにかしら問題が発生してもいたしかたのないことと思います。くれぐれもパニックにならないようお気をつけ下さい。

本日(?)新聞やネット上でタミフル(インフルエンザのお薬)のことで物議をかもしだす報道がありました。
不安なお母さん方もおられるようですので一言申し述べておきます。下記に抜粋しておきます、詳しくは下のyahoo headlinesを見て下さい。

独り言
5月9日(日)
インフルエンザ脳症に新タイプ、大阪で子供6人死亡
 インフルエンザに感染した後、中枢神経が急速に侵される「インフルエンザ脳症」で、睡眠中などに子供が突然死する新しいタイプが出現。従来の脳症と異なり、けいれんや意識障害などの症状が出ないまま急死するのが特徴で、研究班は「共通する原因は不明で、詳しい調査が必要」としている。内容は2002年12月から03年2月にかけ、大阪府内でインフルエンザになった1―8歳の男児6人が、発症後1―2日目に、寝ている間に突然死し、この6人のうち4人は、抗ウイルス薬オセルタミビル(商品名タミフル)を服用、その3―7時間後に死亡していた。タミフルは01年2月から発売されたが、製造元のロシュ社(本社・スイス)は、動物実験で大量投与を受けた幼若ラットが死亡、脳から高濃度の薬剤成分が検出されたため、昨年1月、1歳未満には投薬しないよう警告していた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050224-00000301-yom-soci