#4 もっとも生ワクチンで問題となること

生ワクチンは、ウィルスの毒性を弱めたものを使っているため、ワクチンからポリオに感染する危険性があります。これをワクチン関連麻痺(VAPP)と言います。日本で最近みられるポリオは、全てVAPP です。経口接種された生ワクチンは腸で増え、約1ヶ月便中に排出され続けます。このため、ワクチンを飲んだ子供だけでなく、家族への二次感染も報告されています。特に、昭和5052 年生まれの両親の場合、1 型ウィルスに対する抗体が低いことが分かっていて、二次感染の危険性が高いです。1981 年(昭和56 年)以降ポリオと認定された患者は25 名ですが、VAPP の実数ははっきりしていません(厚生労働省の発表によりますと毎年5人程度の発症の報告があるようです)。VAPP の頻度は、19712000 年の日本における危険度は約200 万接種あたり1 人という報告もあり、WHO (世界保健機構)の報告によれば、生ワクチンにより出生100 万人あたり2〜4人のVAPPが発生するとされています。アメリカのCDC(米国疾病予防管理センター)は、2000 年1月から移行期を経て全て不活化ワクチン化しました。

このように経口生ワクチンの投与が続く限り、保育園や幼稚園などの日常環境から感染するリスクは、ゼロにはできません。

 

#5 当院での不活化ポリオワクチン接種開始(H24年9月1日から公費接種になりましたので、輸入品の在庫はありません)

このような背景から当院では不活化ポリオワクチンを接種することしました。以下にいくつかの留意点を記載します。

@  使用するワクチン:

薬剤名:IMOVAX Polio 0.5mL

製造元:Sanofi Pasteur

製造国:フランス

輸入商社:RHC http://www.rhc-net.com(保証に関しての詳細はHPをご覧ください)

A  費用:1回接種分が6000円です。

B  接種回数

基本的には生後2カ月、4か月、618カ月、46歳時の合計4回です。2回不活化ワクチン接種後3回目以降は生ワクチンでもかまいませんが、それでも600万分の1の確率で麻痺が起こり得ますのですべて不活化ワクチンの接種をお勧めします。また特に昭和5052年生まれの両親も子供と同時に2回不活化ワクチンの接種をお勧めします。

C  輸入品のため副反応に関して不安を抱かれるご両親が多いと思いますが、一般の予防接種と同様の痛みや腫れ、また発熱等は認められますが際立った重症の副反応は認められません。