では、背が低いというのは?

SDというのは「標準偏差」のことです。成績を評価するのにかつては盛んに使われた、あの標準偏差です。60なら合格できるけれど、40では難しいなどといわれた、あの標準偏差と同じものなのです。SD(標準偏差)とはある幅のことです。何の幅かというと、身長の場合でいうと、ある集団の身長を横軸にとって表を作ると、平均身長を中心に釣鐘形になるのですが、その釣鐘の肩と肩の幅を2分の1にした、その幅がSDです。そして、平均身長から右ひとつ分が+1SD、さらに右の幅が+2SD。そして平均身長から左ひとつ分の幅が−1SD、次の左ひとつ分が−2SDとなります。そして、これ以内にはいっていれば正常身長とみなすのですが、この中にはいるのが約95%。そこからはずれるものがそれぞれ2.3%ずつ。すなわち、低身長と一応みなされるのは左端の3角形の裾野に属する人で、100人中2、3人ほどいるということになります。

その1

親ごさんが「うちの子は小さい」という場合、「幼稚園や学校のクラスでいちばん小さい」など、小さい集団での比較で評価されることが多いのですが、学問的な低身長は身長が−2SD以下の場合をいいます。また成長率が−1.5SD以下になったときも低身長として扱います。
現在、学校でのクラス人数は35人くらいですから、いちばん小さくても35人中の35番めですが、−2SDというのは、100人中99.7人めです。やはり低身長の正しい評価にはSD値を求める必要があります。
男の子の思春期到来は平均で11歳半ですが、4歳から思春期到来までの伸びは年間5〜7cm。この間、年間の伸びはわずかずつ減っていきますが、思春期到来前の11歳半前後がいちばん伸びないときです。 いちばん伸びるのが思春期到来後の2年間くらい。一般的に12歳、13歳が急激に背が伸びるときで、思春期到来から成長が止まるまでに平均で25cmくらい伸びます。
生まれてからの1年間に約25cm、1歳から2歳までの1年間に10cm、2歳から3歳までの1年間に8cm、3歳から4歳までの1年間に7cm伸びて、4歳ちょうどで1mになるのが4歳までの男の子と女の子の標準的成長パターンです。
女の子の思春期到来は平均で10歳ですが、4歳から思春期到来までの伸びは年間5〜7cm。この間、年間の伸びはわずかずつ減っていきますが、思春期到来前の10歳前後がいちばん伸びないときです。いちばん伸びるのが思春期到来後の2年間くらい。11歳がピークで、平均で年間の伸びは8cm。思春期到来から成長が止まるまでに平均で20cmくらい伸びます。

しかし、これはあくまで平均的なお話。どの時期にも個人差はかなりあります。ただ、男の子にも女の子にもこのような成長パターンが設計図として組み込まれているので、ほとんどの子はこのパターンの中で伸びていくということなのです。
低身長